大学紛争が吹き荒れていたぼくの学生時代は、大学が閉鎖されてしまい、ぼくたち学生は1年半ほど宙ぶらりんの状態で過ごしていました。この時期に読んだ本でぼくは「才能とはひとつのことを愛し続ける能力のことだ」の寸言に出会いました。それは、鬱屈した暗い心の中に射し込んできた一条の光のようでした。自分の資質や才能についてはとんと自信はありませんでしたが「建築を愛し続けることにかけては、人に負けないぞ」という気持があったからです。そして、その言葉に励まされながら、これまで走り続けて来ました。建築を志す若者は才能のあるなしにかかわらず、この言葉を深く心に留めて頑張って欲しいと思います。