指導教員:湯澤幸子 教授
制作年:2021年
人の心理状態を表現する空間道具のデザイン
―「空間構成法」という手法によってー
本研究では、うつ病が話題になりつつある現代社会において、ストレスを抱えている人やうつ病の人の心理状態に着目する。現在では多くの心理療法が存在しているが、心理的な問題については非常に個人的なものであり、公開議論されることが少ない。そこで、人々に自分の心理状態を認識してもらい、うつ病への誤解を改善するため、心理状態を表現するための道具をデザインできればと考えている。空間は人間の感情と密接に関係しており、人は空間を通して情報を知覚することができることがわかっている。逆だとすれば、人の心理的な感情が空間を介して表現されることは可能なのだろうか。心理学と建築学の中間領域を模索することで、コミュニケーションの手段とする空間の新たな可能性を探ることを目指している。
「空間構成法」とは、人間のイメージ機能を介して、200×200×100のサンドボックスに、自分を代表している小人を置いて、粘土や紙、棒などを使って空間(マイ·スペース)を構成してもらうことで、その人の心理状態をみるということである。心理状態がどのようにして空間に変換されるのかを手段として研究することで、感情をより客観的に分析することが可能になるだけでなく、空間構成の新しい論理を提供する。